あひるの小屋

大弛峠

案内板の見間違いには気をつけよう

夢の庭園へ

駐車場待ちの車が前に1台いて身動きがとれなかったので、とりあえずそのまま待ってみる。

駐車場はダメだな。どうする?

近くに夢の庭園とかいうところがあるんでしょ?そこまで行ってみない?

あーちょっと歩くけどね

うん、15分くらいだって書いてあった

行ってみる?じゃあ車はすこし戻って停めてくるか

前の車は運良く駐車場が空いたらしく移動していった。気長に待てば空くのかもしんないが、あきらめて車を切り返し、来た道を戻る。路駐もずっと続いていて、停められる場所まではかなり下らなければならなかった。駐車場から「夢の庭園」まで徒歩15分ってことは、この下ってきた分も足すと何分歩くことになるんだろうか…。

標高が高いって聞いてたから寒いくらいだと思っていたけど、天気がいいのでめちゃめちゃ暑い。こりゃーTシャツで大丈夫だな。社長もヤッケを持たずに車を降りた。しかし手にはペットボトル入りのを持っている。ノドが乾いたのかしら。わざわざ荷物増やさなくたって、ココで飲んでいけばいいのに。

駐車場まで戻り、まずは「大弛小屋」へ。なるほど…ここから15分か…って、これどう見ても山道じゃん!山登りするつもりなんてこれっぽっちもなかったってばよー!「徒歩15分」と「登山15分」って、心構えがぜんぜん違うっつーの!

大弛小屋の案内板
案内板の写真の拡大

案内板の前でボーゼンとしている私を登山者のひとたちが追い抜いていく。つーか私たちのこの山をナメくさったような格好はなんなんだ。他のひとたちはみんな登山靴だし持ってるしも持って…え゙?すずぅ?ココって熊さんがいらっしゃるんですか!?聞いてない。聞いてないってばよー!

しかし「夢の庭園まで行こう」と言い出したのは私だ。わざわざ下まで車を停めにいってここまで上ってきたのに、いまさら「やめよう」とか言えるわけもない。えーい!登ったろうじゃないの。15分?上等だ!かかってこい!

と、気合いを入れて登り始めたものの…2360mという標高のせいか、秒殺で息がアガる。ゼーハーいいながら登っていると、うしろから社長のかけ声が聞こえてきた。

トローリー!

おー…

(水曜どうでしょうネタです。わからないひとすんません…)

必死で答えるが、声にならない…。つーか社長は「夢の庭園」まで行くのに登るんだってことを知ってたんだな。そこまで行くかどうかはわかんないけど私さえOKすれば行くつもりでいたんだな。それがあの「山登りなんてしないよね?」「わかんない」の会話だったんだな。ウエストポーチとヤッケを持ってきたのもこのためだったんだな。あ、車から降りるとき水を持ってきたのもそういう理由だったのか…。くっそー手提げバッグじゃまくさい…。こういうとこ歩くって知ってたら、リュック持ってきてたよなぁ…。そんなことを考えながら、一歩一歩登っていったのだった。

山道…とはいっても滑りそうな場所には木の階段などが設置されている。しかしなんもないところでも平気でコケる私だ。この階段でも何度かけっつまづいて社長に笑われてしまった。自分にも相手にも余計な体力を使わせる厄介者だな私ゃ(^^;

いきなり目の前がパーッと開けた。汗だくの顔に冷たい風があたって気持ちいい。「夢の庭園」はもうこの階段のすぐ上らしい。でもここからの景色もなかなかじゃないの?…と思ったのは一瞬のことで、あれよあれよという間に霧が出てきた。

うわ!ガスってきちゃったよ!

あ、ホントだ

とりあえずココで写真撮っとく!見えなくなる前に!

霧が出てきた

あわてて撮影したけれど…間に合ってない(T-T)

夢の庭園」に到着。霧はどんどん濃くなって、下の駐車場でさえよく見えないほどの勢いだ。とりあえずベンチに腰掛けてひとやすみ。社長が持ってきたペットボトルの水をありがた~くちょうだいする。

車を停めたあたりで見かけたタクシーの運転手さんがいつのまにか登ってきていた。大弛峠までタクシーを利用する登山客もけっこういるのらしい。いまは帰りの客を待ってんのかな。なんて思っていると、山頂方面から登山者のひとたちが下ってきた。私たちのうしろのベンチに腰掛けて景色を楽しもうとしているっぽいが…周りはすでに真っ白

あ~…なんにも見えないなこりゃ…

さっきまで晴れてたんですけどねぇ。南アルプスがキレイに見えていたんですよ

確かに。さっきまではものすごくいい天気だったんだ。私たちがここに到着する直前にいきなり霧が出てきたんだ。なんだかすごく申し訳ない気持ちでいっぱいになる私(^^; 小声で社長にささやく。

やっぱり…私のせい?

うん、オレはこうなるんじゃないかなーって思ってたよ

うぁ~ごめんなさいぃ…

しばらく待ってみたものの、霧が晴れる気配はまったくない。それどころか冷たい水滴が顔や腕に当たる感触が。雨か?と思ったが、どうやら霧の水滴らしい。

これは晴れないなぁ…ダメですね

今日はよく見えると思って楽しみにしてたんですよ…残念です

ひ~…申し訳ない… (小声)

ははは… (小声)

下りようか。私が下りたら晴れるかもしんないし (小声)

ん、下りるか (小声)

周りは真っ白で景色どころじゃないし、すっかり汗もひいて逆に寒くなってきたし。いまになってTシャツ1枚で登ってきたのは失敗だと痛感。笑っちゃう膝にムチを打ちながら木の階段を下りていった。

階段の途中に「夢の庭園」の看板があったので撮影。ここでふり返れば絶景が広がっている…らしいんだけどねぇ…。残念だ。

夢の庭園

えらくしんどかったように書いたけど、駐車場から夢の庭園までの道のりはそんなに大したことはないです(^^; 標高のせいで気圧が低く空気も薄いような気がするので、ちょっと息がしんどいかも。社長でさえ「心臓がバクバクする」って言ってたし。あらかじめそうだとわかっていればなんも問題ありません。私みたいになーんも知らずに行ってしまうと、その場でちょっと戸惑うよ、っつーだけの話です(^^;