大弛峠
案内板の見間違いには気をつけようさて帰るか
駐車場まで下りてきて、社長と一緒に反対側(長野県側)の道の様子を見にいった。しかしこちら側の道はまだ舗装されていないようだ。見える範囲はずっと砂利道だった。
あ ん?反対側に出たい?
社 行けそうなら行きたいと思ってたんだけどね…でもダメそうだなこりゃ。この状態がどのくらい続いているのかわかんないけど
その砂利道にもずっと路駐が続いていて、狹くなった道でなんとかすれ違おうとしている車たちがいた。けっこうギリギリ。その様子を社長とふたりでハラハラしながら見守っていた。
駐車場から長野県側に下ろうとしている車が路駐ギリギリまで寄せて対向車をやり過ごし、対向車がいなくなったのでそのまま下っていくのかな…と思っていたら、なんか細かく車を前後に動かし始めた。え゙?切り返し?こんなところで方向転換?

無理だって!…と思った瞬間、社長がすっ飛んでいった。(しかしヒドイ絵だ(^^;)
社 なにしようとしてます!?ここじゃ無理ですよ!
運転していたのは男性で、車外には奥様と思われる女性がいた。車の窓が閉まっていたので男性の声は聞こえなかったが、奥様と社長で説得している様子だった。
奥 やっぱり無理ですよね。ホラ、やめといた方がいいって
社 駐車場のところに切り返せる場所がありますから、そこまでバックした方がいいですよ
別のご夫婦が通りかかって「下にも切り返せる場所がありますよ」と教えてくれたが、社長はこの先の様子を知らないので、そのまま駐車場へと誘導することにしたようだ。誘導されている間ずっと男性は車の窓を閉じたままだったので、もしかすると余計なお世話だったのかもしれない…(^^;
私は車を追っていかずその場で待っていたんだけれども、奥様がわざわざ私のところまでお礼を言いに来てくれた。背格好やしゃべり方がどことなく母に似ていてなんだか嬉しくなってしまった。私はなーんもせず見てるだけなのに、わざわざすみませんです。
どうやら無事に方向転換できたようで、奥様は社長にもお礼をたくさん言って車に乗り、さらに車の中からも会釈をしていた。私も離れたところから軽く会釈して見送る。…と、社長がこっちへ戻ってきた。
あ おつかれっした
社 はぁ~ビックリした。あんなの100万回切り返したって無理だよ!
あ あはははは
社 ちっさい車ならまだしもあんなでっかい車で、こっち路駐でここには鉄骨だろ?100万回切り返す間にどっちかやるよな
あ そうそう。この鉄骨、さっき危なかったよね。そのむこうはガケだし
社 これもし鉄骨乗り越えちゃったらレッカー呼ぶしかねぇだろ。いずれにしろほっといたらエライことになってたと思うよ。こんなとこで立ち往生しちゃったら大迷惑だよ
もしかすると社長は大パニックを未然に防いだのかもしれない^^
付近をちょっとだけ散歩してから、車を停めた場所まで戻る。さっきのタクシーの運転手さんも戻ってきていた。長野県側に抜けるのをあきらめきれない社長は、その運転手さんに聞いてみることにしたようだ。
社 長野県側の道って、どのくらいまであんな感じなんでしょうか
タ どのくらいって、下までだよ。下までずっとあの状態
社 あ~じゃあ車で抜けるのは無理ですかねぇ
タ ん~そうだね
それ仕様の車ならば大丈夫らしいが、うちの車じゃちょっと無理だ。あきらめて来た道を戻ることにした。
社 峠ってのはさ、上まで行ったらまた戻ってくるしかないのと、反対側に抜けられるのとあるんだよ。この大弛峠は反対側に抜けられる峠としては日本で一番標高が高いところにあるんだ
あ へぇ~そうなんだ
社 そういう峠はね、上ったら反対側に抜けるっていうのが峠に対する礼儀なんだよ。来た道を戻るなんてのは大弛さんに申し訳がたたないんだよな…。でもまぁ、焼山峠通ってきたってことで許してもらうか
また出た。「大弛さんに申し訳がたたない」。自転車乗りのひとってみんなそうなのかなぁ…。でもそういう考え方ってちょっとスキかも^^
途中、自転車で上ってくるひとたちと何度かすれ違った。そういえば来るときも焼山峠でひとり見かけたっけな。
社 このひとたちレーサー乗ってんな。ってことはまたこの道を戻ってくるんじゃないかな。みんな同じユニフォームだからきっと同じチームだよ
あ あ、もうひとり来たよ
社 あのひとは単独だね。マウンテンバイクだから反対側に抜けるんじゃないかな
あ あっじゃあ大弛さんに申し訳がたつひとなんだ
社 だね。昔の道はさぁ、こっち側の方がヒドかったんだよな。だから長野側から上って山梨側に下りるってのが普通だったんだ。こっちから上って来るひとはMのひとだな。たぶんあのひとMだよ
あ そんなん、富士山に二度も自転車担いで登る方がよっぽどMなんじゃないの?
そんな話をしながら峠を下っていく。いまは山梨県側からの道の方がキレイなんだから、そっちから上るのが普通なのかもしれない。(だからあのひとはMではない、と帰ってきてから社長が言っていた^^)
帰りは焼山峠の方へは行かず、キレイな道をずっと通ってきた。ふと気づけば空はすっかり晴れ上がっている…やっぱりなぁ(^^;
道の駅「花かげの郷 まきおか」で昼食。その後は助手席で大爆睡してしまった。社長も途中で軽く仮眠をとり、家に着いたのは18時半くらいだった。
最初は乗り気じゃなかった私だけれど、行ってみればなんだか道間違えたり登ったりガスったりしてそれなりに楽しんだ^^ 景色がまったくダメだったとゆーのはちょっと残念だけど。しかしこうやって記録にするんなら、もちっと写真とってくりゃよかったな。