あひるの小屋

B級グルメの旅3

東北

朝8時ごろに宿を出る。空はわりと晴れていたが、1時間ほど走ったところでフロントガラスに水滴がつき始めた。

来たか

なに?雨!?うそでしょ?だって晴れてるのに

なぜかこの車の上だけいるんだよ、雨雲が(笑)

この車についてきてんの?そんなバカな…どういうことよ

前方も後方もそして左右も晴れ間が出ているのに、ここだけなぜか雲がある。しかもなかなか抜け出せない。いくら雨女だからって、こんなピンポイントで攻撃しなくたっていいでないのよ…(T-T)

次の目的地は黒石。国道394号線に入り進んでいくと、山に入ったあたりから道の両脇に雪が見えるようになった。

道の両脇に雪が…

雪ー!

外は4度だって。さむ!路面凍結してないといいんだけど…

この先は冬季閉鎖の区間があるらしい。でもナビ子さん情報ではもう解除されているとのことなので、そのまま進む。しばらくすると雨に雪が混ざり始めた。

これ…雪降ってる?

ホントだ雪だね。気温も下がってるよ。いま3度

んー…このまま進んじゃまずいかなぁ…

この車にチェーンは積まれていない。車を買い替えて4WDになったから、前より多少は心強い感じだけど、さすがに雪道を走るのはおっかない。でも閉鎖はされていないんだし、道路にまで雪が積もってるってことはないよな。つーわけでそのまま進む。すると今度は道の両脇に雪の壁が現れた。

両脇は雪の壁!

なにこれ!壁じゃん!

マジかよ!

すご…気温2度…もう容赦ないって感じ

道もシャーベット状になってんな…これ引き返した方がよくない?

えっでも…もう結構来ちゃったよ?

まいったな…まさかこういう展開になるとは…

写真ではわかりにくいかもしんないけど、道に湿った雪だか氷だかが薄く積もっていてシャリシャリと音がしてる。かなり不安になったが、前を走る車に追いついて、さらに対向車が来ることでちょっと心強くなった。これ以上ひどくならないことを祈りながらそのまま進む。八甲田山を過ぎたあたりから雨は本降り。でも下っていくにつれて雪も見えなくなっていった。

青森県黒石市に到着。ここにはもちろん「黒石つゆ焼きそば」を食べに来たんだ。今回のメイン二本立てのうちの一本。チェックしていたお店「ヒサ久」を探して入る。そういえばこれ、なんて読むんだろ。「ひさきゅう」?

お店の写真を撮り忘れてしまったんだけど、外観はこぢんまりした喫茶店風…と思ったらちょうちんが下がってて、店前には焼きそばの手作り看板が置いてあって、何屋なんだかよくわからないって感じ(^^; 入ってみると意外に奧が広く、手前は喫茶店風のテーブル席、中ほど左がカウンターバー、右が座敷席。その奧は薄暗くてよくわかんないけど厨房っぽい。入ってみても何屋なんだかわからない(^^;

座敷席に上がると、お店のひとがストーブをつけてくれた。いや寒かったのよホントに。

注文するのはつゆ焼きそばってもう決まってるけど、とりあえずメニューを見る。したらほかに「つゆかけ焼きそば」っていうものもあった。

つゆ焼きそばがあるのにつゆかけ焼きそば…?

どう違うんだろ

お店のひとに聞いてみると、つゆ焼きそばはつゆの中に焼きそばが入っているもの、つゆかけ焼きそばは普通の焼きそばにつゆをかけて食べるものらしい。つゆに入ってるか、あとからかけるかの違い…?ってぐらいでいまひとつ違いがよくわからない(^^; まぁ両方食べてみようってことで、私がつゆ焼きそば、社長がつゆかけ焼きそばを注文することにした。

このお店のメニュー、よく見るとあちこちに手書きでなにか書かれている。つゆ焼きそばのところには「味がなまる、だれる等の欠点を克服しました」と書いてあった。

味がなまる、だれる等の欠点を克服しました

なまる?だれる?…ってどういう味のこと?

さぁ…?とにかく、前はなまったりしてたのを克服したんだよ(笑)

だからなまるってなによ!

お店のイチオシは「とまとラーメン」らしい。そこには「全国的スタンダードにしたい」と書かれていた。

全国的スタンダードにしたい

なんかこれ…すごく気持ちが入ってる感じがする

あはははは

でもうまそーだよね、とまとラーメン

真っ赤なスープは辛いんでなくてトマトなんだよね。なんとなく想像できる。トマトスープのラーメン…うまそうだよな^^ ほかにも「アメリカンラーメン」ってのがオススメらしいけど、これはまったく想像がつかない(^^;

メニューのいろんなところに手書きコメントがあったり、紙を切り貼りして訂正してあったり、メニューをながめてるだけでも結構楽しめる^^ 店内にも手書きのメニューがいっぱい貼ってあって、やっぱりあちこちに切り貼りの訂正がある。なんかいろいろ試行錯誤っつーか、研究してるんだなーって感じがうかがえた。

つゆかけ焼きそば

で、まずはつゆかけ焼きそば(650円)。なるほど…確かに説明されたとおりだ(^^; つゆをかけて食べるので、焼きそば自体は薄味にしているみたい。社長に分けてもらって食べたっけ、うまい!ちょっと酸味のあるつゆが焼きそばとよく合う。

つゆ焼きそば

そしてつゆ焼きそば(500円)。見た目はラーメンっぽいけど味は焼きそばで、最初は視覚と味覚が混乱してわけわかんなかった(^^; でも食べ出すとハマってぐいぐい入る。麺は太めでスープはあっさり系。ソース味のようなしょうゆ味のような、それが不思議と調和してるって感じで実にうまい。

もちろん社長にもおすそ分け。

こっち(つゆかけ)の方がうまいよ。換えてやろうか

いやいいよ。私こっち(つゆ)の方が好き

つーかどっちもそれぞれ美味しかった。つゆかけ焼きそばはインパクトのあるうまさ、つゆ焼きそばは素朴なうまさ…そんな感じかなぁ(^^;

たいへんおいしくいただきました。ヒサ久さん…もしまた行くことがあれば、次はぜひとまとラーメンとアメリカンラーメンを食べてみたい。

お店を出て、次の目的地を確認。実は私、細かい行程をほとんど聞いてないもんで、そのつど社長から発表があってそこで知るって感じなのよ。食べる予定のものをリストにして渡されてはいるけれど、土地勘がないから順番まではまったくわかんない(^^; でも「次はなんだろう」っていうドキドキ感もわりと楽しいんだよね^^

次は横手に行くぞ

横手?連続で焼きそば?

つーかここまで来て弘前に寄らないのかよ!(笑)

とかなんとか自分でツッコミを入れつつ、東北自動車道と秋田自動車道を使って秋田県横手市に到着。やっぱり変な天気で、周りを見た感じは大ざっぱにいえば晴れなのに、なぜかずっと小雨に降られてる(^^;

今回のメイン二本立ての二本目、「横手焼きそば」。その発祥の店といわれている「元祖 神谷焼そば屋」へ。キレイで新しそうなお店で「発祥」とか「元祖」とかっていう言葉がぜんぜん似合わない(^^; これってたぶん改築したんだね。

元祖 神谷焼そば屋

横手焼きそばにタマゴは必須だと聞いていたので、社長が「肉玉子野菜並」(650円)、私が「肉玉子並」(550円)を注文。でも出てきたものはどっちにも同じくらい野菜が入っていてぜんぜん区別がつかない。たぶん…一緒に作って同じものになったな(^^;

横手焼きそば

麺はストレートの角麺でやや太め。色からして濃いソース味を想像してたっけ、そんな単純な味ではなかった。濃さもちょうどいい。半熟タマゴの黄身をくずして混ぜると味がマイルドになって、これがまたうまい!

うまい!これはうまいな~

うん、タマゴがいいねぇ~

なんか…洗練されてるって感じだ

もっとソースソースしてるかと思ったけど、そうでもないんだね

近所にあったらオレ毎週通うな。ウソ!(笑)

社長がとにかく大絶賛だった^^ 確かにうまかったけど…私は黒石つゆ焼きそばの方が好きかも。社長はもちろん横手焼きそばに一票ってことで、この焼きそば対決は引き分けという結果になったのだった。

よし、次はそば食いに行くぞ

そば?…ってか私、お腹いっぱいなんだけど

あっはっはっは。いよいよ合宿になってきたな

宿でしっかり朝食もいただいちゃったし、それを入れるとすでに3食。しかもレクなし。苦しい~!とかなんとか言っているうちに、1時間ほどで秋田県羽後町に到着。腹はこなれず、雨は本降り…(^^;

ここの名物は「ひやがけそば」というものらしい。その元祖といわれているお店に行ってみたが、本日は完売ということで閉まっていた。時間が悪かったかな。でももちろん社長はそのへんぬかりない。チェックしていた別のお店「松屋」へ向かうと…こちらはのれんが出ていた。

松屋

私はとにかくお腹いっぱいで、そば一人前を食べるなんて絶対にムリ。ここはふたりで一人前を頼むことにしよう。ってなことを社長と相談しながらお店に入ると、お客さんはひとりもいない。店員さんすら出てくる気配がない(^^; 何度か声をかけたところで奧から店員さんが顔を出した。

あの、ひやがけそばを…すみませんが一杯だけ、お願いできますか?

いいですよ。どうぞ

奧でゆっくりしていたっぽいのに、たった一杯のために…っていうのがなんだかすごく申し訳ない(^^;

で、ひやがけそば(500円)。名前のとおり冷たいかけそばだ。取り分け用のお椀も出してくれるという気遣いに感謝しながら、社長と分け分け。

ひやがけそば

あ、うまい。これは入っちゃうな

うん、おいしい。なんかちょっと不思議な味だね

コシの強い麺はつなぎに布海苔を使っているらしい。ちょっと甘めのつゆは煮干しダシで、すすると独特の香りが鼻にぬける。いままでに食べたことのないタイプのそば。あぁ…お腹がいっぱいなことが悔やまれる…

かけそばなのにそば湯がいただけるっていうのがまたいいね。しかも濃い!このそば湯でかけつゆをキレイに飲み干し、さすがの社長も苦しそうだ(^^;

お店を出ると雨は上がっていた…が、走り出すとまた小雨に出会う。なんなんだかなぁこの天気は。

次の目的地、岩手県北上市に到着。来る途中で宿を確保しておいたので、まずはそこにチェックイン。

ターゲットは「北上コロッケ」。専門でやっているお店ってのはないみたいだけど、居酒屋などいろいろなお店で食べられるらしい。でもさすがにもうふたりとも食事をするだけの余裕がない。どこかコロッケだけをテイクアウトできるようなお店はないだろうか…と探してたどり着いたのが「鎌倉」という居酒屋さん。

というわけで北上コロッケ(1個130円)。わりとちっちゃいと言われていたので6個買ってみました。コンビニにも寄ってなんだかんだで普通の夕食くらいの食べ物を買ってしまい、宿に戻ってさっそくいただく。

北上コロッケ

うんまっ!やらか!

ホントだ。クリームコロッケ並にやわらかいな

へぇ~、これって里芋のコロッケなんだ

中身は里芋が使われていて粘り気があり、すんごくやわらかい。挽き肉もたっぷり入っていて、これがまたジューシー。軽く山菜のような風味があり、なんだろうと思ってたっけ、これはアスパラガスらしい。ううううまいぞ北上コロッケ。私的には焼きそばを抜いてここまでのナンバーワンだ。

他に買ってきたものもしっかりと食べてしまい、ふたりとももう動けない。部屋食い正解だなーって感じで今夜は北上で一泊。