あひるの小屋

B級グルメの旅3

東北

朝8時半ごろに宿を出る。今日もまた大ざっぱにいえば晴れ。でもこの車の周りには雲が多いという、実に挑発的な天気だ。

大ざっぱにいえば晴れ

さて、今日はどこへ行くのかな?

本日の一発目はレクです

レク?どこ行くの?

厳美渓。だんご食いに行くぞ

レクってのは満腹状態を解消するためにはさむものであって、朝イチでレク入れても意味ないんでないのか?それに「だんご食いに行く」って。結局食うんじゃん!

でも…前にも書いたけど、私は旅行となるとどうも収支が合わなくなる。今回は旅行前からの持ち越しもあり、おまけに今朝も宿でしっかり朝食をいただいてきちゃったりなんかして、まったく学習しないっつーかなんつーか(^^; だから朝イチのレクでも意味はある。だってもうすでに苦しいんだもの(^^;

というわけで岩手県一関市にある厳美渓に到着。国指定名勝地にもなっている美しい渓谷があるところで、いまは桜も満開で景色はサイコー…だが、今回の目的は景色ではなく「郭公だんご」。まさに「花より団子」ってやつだな(^^;

かっこうだんご

郭公だんごは「空飛ぶだんご」とも呼ばれている。販売している茶屋から渓谷の対岸までワイヤーが張ってあり、対岸からだんごを注文するとそのワイヤーをつたってだんごが飛んでくる、というもの。

だんご食べなくても、飛ぶのが見られればそれでいいんじゃない?

でも飛ぶのを見るにはだんご頼まないと

誰かが頼むのをちょっと写真に撮らせてもらってさ。まるで自分が頼んだかのように。ひとのだんごを(笑)

頼むひといるかなぁ…誰もいないかもよ?

とかなんとか言いながら茶屋の対岸に下りていくと、10人くらいが並んでいて次々にだんごを注文していた。

へー、人気あるんじゃん。ひとのだんご撮り放題じゃん(笑)

でもせっかくだしさ、だんご食おうぜ

そだね。レクだし。だんご飛ばしてもらおっか

というわけで列に並び、だんごを注文することにした。

対岸の茶屋を見上げたところ。おじさんがスタンバってます。
これは列に並んで待っているときに撮影。いまからだんごが飛んでくるぞっていうところで、実はこれ、ひとのだんご(^^;
順番がまわってきたのでいざ注文。このカゴにだんごの代金を入れ、右の板を木槌でコンコーン!と叩く。それが注文の合図。
向かいの茶屋に黄色い札が出たときはダンゴが売り切れ…と、板のところに書いてあった。
おじさんがカゴを引き上げる。これが速いのなんの。スゴイ腕力だ。
そして中にだんごとお茶を入れてくれて、またカゴが戻ってくる。勢いよくシャーッと飛んでくるんで、てっきり「滑降だんご」だと思ってた(^^;
だんご到着~。紙コップに入ったお茶が乗っかってる。あんな速さですっとんできたのにまったくこぼれていないってのがまたスゴイ。
そういえば…だんごの代金は一箱分しか入れていないのに、ちゃんとお茶がふたり分あるのはどうして?茶屋からこっちの人数をちゃんと確認してくれてるのかな?

こうして届けられた郭公だんご(400円)。みたらし、ごま、あんこが1本ずつ入っていて、それぞれ串に5つずつ刺さってる。

郭公だんご

お、意外にうまいよ

ホントだ。ごまうまいなー

意外にってのは失礼だけど、実のところそんなに期待はしてなかったんだわ(^^; でも作りたてみたいでやわらかくって、ホントにうまかった。私もごまがお気に入り。もちろんみたらしもあんこもうまかったよ。

オレいっこずつ食えればいいからさ、あと全部食べていいよ

なんでよ。食べなよー

いいからいいから(笑)

だから私はお腹が苦しいんだってばよ!そこんとこわかってる?とかいいつつも、半分以上は私が食べてしまった(^^;

だんごを食べ終えたあたりでパラパラッと雨が降ってきた。本降りになる感じではなかったけれど、とりあえずここから去ることにした。来るときはスルーしてしまった桜などを見ながら車まで戻る。

厳美渓の桜

茶屋の裏側から階段状に下りる道があったので行ってみると、茶屋のすぐ下のところに出た。いままさにカゴを引き上げているおじさんが…って、あれっ?

おじさんじゃないじゃん。お兄さんじゃん

あ、ホントだ(笑)

お兄さんだった

遠くから見た感じ、てっきりおじさんだと思っていた。白衣と帽子でそんな風に見えたんだろか…でもあのパワフルなカゴの引き上げ具合も、このお兄さんなら納得(^^; カメラを構えたらオンカメでステキな笑顔を見せてくれた…が、ちょうどカゴが到着してかぶっちゃったんだよねぇ。残念。

で、この階段状の道で私はハデにすっころんでしまった。お兄さん…見てたかなぁ(^^;

ってな感じで朝イチのレクは終了。レクっていうか…だんご食べてるから、これは半レクってやつ。

国道342号線をひたすら走って宮城県登米市へ。天気はすこしずつ回復。気温も上がってきた。

次のターゲットは登米市の名物「油麩丼」。油麩(あぶらふ)ってのは油で揚げた麩のことで、「仙台麩(せんだいふ)」とも呼ばれるそうだ。これをカツ丼のカツ代わりにしたものが油麩丼らしい。その元祖と言われている「味処 もん」というお店へ。ちょうど昼前くらいだったこともあり、ふた組ほど並んでいた。

味処 もん

順番がまわってきて席に着き、ふたりとも迷わず油麩丼(730円)を注文。運ばれてきた丼は、見た感じカツ丼のような、親子丼のような…

油麩丼

うまっっっ!

うん、うまい

たかが麩だなんて軽く見ちゃいけない。ダシを吸いまくったフワフワの麩は、噛むとジュワーっとしてホロホロッとして…これは想像以上の、いやある意味想像どおりのうまさだ^^

食べるべき!これは食べるべきです!

あっはははははは

いやいや、カツの代わりだとか思ってたことを申し訳ないと思うわ。この麩は立派な主役。もともと麩好きだっていうのもあるんだけど、これはどんぴしゃツボだった。お腹が苦しかったハズなのにペロリと完食。いやダントツだね。私的ランキングでは北上コロッケを抜き、この油麩丼がここまでのナンバーワンに躍り出た。

お店を出てしばらく走り、国道347号線で西へ向かう。またしても道の両脇に雪が現れたが、気温は13度でわりと高く、社長が「天気さえ崩れなければ大丈夫だろう」とそのまま進む。うん、確かに大丈夫だった(^^;

峠を越え、次の目的地である山形県村山市へ。ターゲットは「板そば」。このあたりは「最上川三難所そば街道」と呼ばれ、最上川沿い15キロの道のりにそば屋が軒を連ねている…って、そば屋の「そ」の字すら見あたらないんですけど。それどころかすんごい細い道を行かされるんですけど。大丈夫なのか?この道で合ってんのか?

…とかなんとか不安になりながら進んでいくと、こんなとこに!みたいな感じでお店があった。ログハウス風のしゃれた建物(写真を撮り忘れました^^;)で、「手打蕎麦 おんどり」というお店。店名の由来は「大鳥居」から転訛したものだそうで、雄鳥とはなんの関係もないらしい。

このとき、私のお腹は座敷に座るのもツライほどパンパンになっていた(^^;

ゴメン!私ムリ。一人前はムリ

なにぃ~

細打ち板そば

というわけで細打ち板そば(800円)を一人前だけ注文。木箱に入っているのがなんだか不思議な感じ。細くて白い更科のようなそばだ。私は3分の1を食べるのが精一杯だったけど…それでも一人前くらいあるんでないかって量なんだもの(^^; でもコシがあってのどごしがよくて、とってもおいしいおそばでした。

一人前しか注文しなくて申し訳なかったので、お店で売っていたそばかりんとう(400円)を買って帰った。これもおいしかったよ^^

もうダメ。もうなんっにも食べられない

あははははは

見てこのお腹。ヤバイって

涙ぐましいねぇ~(笑)

まるでぷよぷよのようだと社長が言っていた。地道にすこしずつ消していっても、上からどど~ん!と透明のぷよが降ってくる…いやまさにそんな感じだったわよ(T-T)

国道48号線で東へ。さらに国道457号線で南下。次の目的地は宮城県白石市だ。ターゲットは白石名物「うーめん」。日本語っぽくない表記がなんだかツボ^^ しかし行こうとしているお店は午後6時で終わってしまうらしい。白石市街地に入ったところですでに5時半をまわっている。これは急がねば。

そのお店「奥州街道 うーめん番所」に到着。店内は灯りがついているが、のれんは半分たたまれている。これは…間に合わなかったか?

奥州街道 うーめん番所

すみません、もう終わり…ですか?

あ、はい…終わりなんですけど…でもいいですよ。どうぞ

いやぁ申し訳ない。もうこの旅で何度目の申し訳ないなんだか(^^; というわけでお店の方のご厚意に甘えて店内へ。さらに私たちが入ったことで、あとからふた組ほどが入店してきた。ますます申し訳ない…

後日知ったんだけど、ラストオーダーは午後5時半だったらしい。ひー!この旅における申し訳なさすぎランキングのダントツ1位はうーめん番所さんに決定。本当に本当にすみませんでした。

注文は社長がざるうーめん(580円)、私がかけうーめん(530円)。うーめんって「温麺」と書いたりするのに、冷たい麺もあるんだね。

ざるうーめん
かけうーめん

あ、これおいしい。ムリかと思ってたけど入っちゃうね

そうめんみたいだな

そうめんとの違いは、つなぎに油を使っていないことらしい。もともとは胃腸の弱い父親のために息子が作ったものなんだそうだ。いま胃腸が悲鳴をあげている私にもってこいの食べ物でないの(つか食うから悲鳴あげてるんだけど^^;)。そして父親の胃病が快癒したことが評判になり、殿様への献上品になったことで「温麺」と名づけられ、この地の名物になっていったそうだ。

かけつゆも濃すぎず薄すぎず、やさしいお味。お腹いっぱいなはずなのに、不思議とスルスル入っていってしまう。わりと大きめなお椀だと思うんだけど、ペロッと完食してしまった。

お店を出ると、すっかり日が暮れていた。

さて。このあとどうするかな

白石一泊…じゃないの?

んー…いまのうーめんでリストアップしてたもの全部食っちゃったんだよな

えっそうなの?スゴイ!

スゴイってこともないかもしんないけど(^^; だいたいいつもいくつかは切ったりあきらめたりするもんだから。

帰るか。あひるも腹が苦しそうだし(笑)

帰っても泊まっても苦しいのは一緒だけどね…

ちょっとだけ宿を探ってみたが、連休のためか満室なところが多く、ここはやはり帰ることに決定。途中で休憩を多めにとりつつ、ぼちぼちと帰路につく。

今回の優勝は?

優勝?なんたって油麩丼だね。もうぶっちぎり

へぇ~そうなんだ

社長は?やっぱり…ばくらい?

あれはB級じゃねぇだろ、高級珍味だ

あはははは、そっか

うーんそうだなぁ…やっぱり横手焼きそばかな

あぁ…社長絶賛だったもんね

今回食べたもの全部が対象なら、文句なしにばくらいだよ。でもB級グルメの中から選ぶなら横手焼きそばだ

そんなこんなで今回の旅は終了。自宅に戻ってきたのは深夜0時近かった。

全走行距離は1829.1km。社長、今回も運転お疲れさまでした。